「現場の力×テクノロジー」で地方の就労格差を打破する。障害福祉の未来を創る挑戦【対談企画|デコボコベース株式会社×株式会社D&I】

『障害があっても、住む場所に関わらず、誰もが挑戦できる社会』
その実現のためには、支援の現場そのものを支える仕組みが欠かせません。

就労移行支援をはじめ、障害者(児)の経済的自立を目指す支援をソーシャルフランチャイズで全国385事業所(2026年1月現在)展開するデコボコベース株式会社と、テレワーク型障害者雇用サービス「エンカク」を展開する株式会社D&Iは、障害福祉事業の運営効率化と支援の質向上を目的に営業提携を締結しました。
両社の 「デコボコシステム」と「エンカククラウドソーシャル」の連携により、支援者が一人ひとりに向き合う時間を取り戻すことを目指しています。

本対談では、両社代表が今回の提携に込めた想いと、障害福祉のこれからについて語り合っていただきました。

  • デコボコベース株式会社 代表取締役 松井 清貴
  • 株式会社D&I 代表取締役 小林鉄郎

経営者コミュニティから始まった縁

――本日はよろしくお願いいたします。今回は、両社の協業にあたり、そのシナジーや背景について深掘りできればと思います。まず、お二人の出会いから教えていただけますか?

小林:
最初の接点は、EO(起業家機構)でしたね。実は松井さんに会う前に、デコボコベース共同代表の上(うえ)さんと交流があって。上さんがD&I創業者の杉本とも面識があると聞いて、ご縁を感じたんです。その後、上さんから「義理の弟が役員をやっていて…」と紹介いただいたのが松井さんとの出会いでした。

松井:
そうでしたね。小林さんとは、僕が代表に就任してからもEOでご一緒したり、あとはゴルフに行ったりもしてますね(笑)

小林:
そうですね、ゴルフも。他にも共通の知人がいて、繋がりが多いなと感じています。

――経営者としての繋がりから、ビジネスの協業へと発展したわけですね。お互い「福祉」という共通のフィールドにありながら、異なる強みを持つ両社がタッグを組むことについて、どうお考えですか?

松井:
増えましたよね、こういうコラボっていうの。

小林:
たしかに、今はお互いの強みを活かしあって一つの課題を一緒に解決する協業が増えてきていますよね。

松井:
そうですね。我々、障害福祉という分野だけでなくて、全体的に世の中のビジネスモデルも、徐々に特化したものに変わってきているなという印象ですね。

小林:
そういう意味では今回の協業も、うまくピースがはまりそうみたいな感じで楽しみですね。

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両社が直面する課題「地方の就労格差」

小林:
デコボコベースさんは現在、全国でどのくらいの規模になっているんですか?

松井:
現在は、放課後等デイサービス、児童発達支援、就労移行支援を合わせて、全国に約240拠点、事業所数では約300箇所ほどを展開しています。子供向け:大人向けで言うと、だいたい2:1に近い比率です。

小林:
規模的には業界内でもトップクラスですね!今後も事業所をさらに増やしていくと思いますが、エリア展開とかはどう考えているのか教えてください。

松井:
今は43都道府県(全国カバー率91%)に展開しているので、最終的には47都道府県すべてを網羅することを目指しています。上場企業の場合、株主への説明責任もあり、採算性を確保しやすい人口の多い都市部に集中して出店する傾向があると思うんです。ただ我々はあえて上場しないという選択をしていて、「どう世の中を変えるか」ということに重きを置いているので、地方にしっかり拠点を出していくことを大事にしています。

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小林:
なるほど。僕も同じようにやっぱり地方のほうが課題が大きいと思っています。地方に行けば行くほど企業規模が縮小する分、企業の法定雇用率に紐づく求人数も少なくなるから、人口比率以上に、地方と都市部では障害者雇用の格差があるのが現状ですよね。

松井:
D&Iの「エンカク」は、まさにその格差を埋めるものだと思いますが、利用されている企業はやっぱり首都圏のほうが多いんですか?

小林:
企業側は首都圏と関西圏が多くを占めていますが、働く障害のある方については地方へも目を向けています。地方にお住まいの障害者の方にとって、最大の壁は「働く意欲はあるのに地元の求人が少ない」という点ですからね。それならば、「都市部の求人と地方の求職者をテレワークで繋ごう」「我々が出会いの場をつくろう」と、石川県加賀市や山口県岩国市など計6自治体と障害者テレワークに関する連携協定を結んで、実際に各自治体で雇用を実現しています。

松井:
すごいですね!僕らの共通の知り合いで病院・介護関連の事業をしている方もエンカククラウドを導入しているとか。

小林:
そうですね。彼らはまさに岩国市に事業所があって、エンカククラウドを基幹システムとして在宅訓練特化型の就労移行支援を運営されているんですが、そこから既に10名ぐらい就職実績が出ていると聞いています。行政からも「信頼できる仕組み」として認めていただくことで、地元の支援機関も安心してテレワークという選択肢を提示できるようになってきているんだと感じます。

テクノロジーは支援の質をどう変えるか。AI活用の現実的な視点

松井:
システムの話にも繋がりますが、小林さんは、最近のAIの進化をどのように考えていますか? ホワイトカラーの仕事が代替される懸念についてもお聞きしたいです。

小林:
たしかに。AIに代替されない作業系は一部残るとは思いますが、事務職などの仕事が減っていくと思うと、ある意味脅威とも捉えられますよね。ただ、我々はその現実と向き合いながら積極的にAIを取り入れています。AIやテクノロジーは「できない」を「できる」に変える武器になると思っていて、まさにエンカククラウドもそうですが、「これまで働きたくても働けなかった人」が、テクノロジーがあることによって「働けるようになった」ということは間違いないので。むしろ配慮のコスト的な部分をテクノロジーで軽減しながら生産性を高めていくという意味では、すごく可能性を感じています。

松井:
できないことが減っていくというよりは、テクノロジーで「カバー」されていくということですよね。

小林:
そうですね。あとは、さらにAIが発展していくと、もはや生産性の世界じゃなくて次は「人間力」とか、その人個人の魅力が価値として広がっていく気がしています。例えば、アバター就労とかが現実的になってくると、寝たきりの方が視線入力やAIを駆使して、メタバース空間で接客を行う。そこでお客様は「その人の接客が好きだから、そのお店に行く」とか、テクノロジーによって、身体的な制約に関わらず、その人の魅力がより伝わりやすい世界になっていく。これは障害福祉にとっても大きな追い風だと思います。

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小林:
実際に、就労移行支援の現場でもAIは取り入れているんですか?

松井:
はい。利用者様のセルフケアの面では、毎朝の体調データを貯めながら自分の特性を分析していく点でAIを活用しているところです。あとは、アセスメントの面で「支援日誌」の自動生成機能の実装に向けた取り組みも進めています。やはり近年、支援の現場では書類も複雑化してきたり、不正のリスクも多い業界なので、できるだけ支援員の事務負担を軽減し、お子様や利用者様とリアルに向き合う時間を増やしたいというのがデコボコシステムが目指すところです。

小林:
素晴らしいですね。不正をなくし、生産性を上げて、本来業務に集中できる環境をシステムによって実現していくということですね。実際、弊社が運営している就労移行支援事業所「ワークイズ」でもデコボコシステムを利用させてもらっていますが、かゆいところに手が届くような機能が多く、現場からも非常に好評です。

松井:
ありがとうございます。380近くの加盟店から、様々なご意見をいただきながら開発を進めているので、実態に即したシステム構築ができているのかなと思います。

「システム連携」と「出口支援」で描く、次のステップ

――ここまで両社のシステムについて伺ってきましたが、今回の営業提携によって、地方の事業所にはどのようなメリットが生まれるでしょうか?

小林:
まず第一に、全国に幅広く展開されているデコボコベースさんの加盟店に対して、「テレワーク就労という出口」を提供できることが大きいと思います。また、地方の支援員の方々はとくに、「離れた場所で支援の質を担保できるのか」という懸念が根強いと思うので、そこに対してはエンカククラウドソーシャルが持つ「支援がワンストップで可視化される環境」や、東京都などで認められてきた在宅訓練のノウハウを活用していただきたいですね。

松井:
地方は本当に、事業所に通うだけで1~2時間かかるケースも多いので、在宅訓練や在宅就労の選択肢が広がることは、地方の加盟店にとって非常に価値があります。

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――最後に、今後の展望についてお聞かせください。

松井:
協業というところでいえば、実務的な部分でのシステム連携も深めていきたいですね。例えば、エンカクでのトレーニング状況がデコボコシステムに自動転記されるような仕組みができれば、支援の質もより向上すると思います。

小林:
それはぜひやりましょう!
D&Iでは他にも、自治体と連携して企業・支援機関・当事者を対象としたテレワーク説明会や求人説明会を行っています。みなさん結局、「前例がないから不安」というのが大きいと思うんですよね。だから実際に、テレワークで働いている弊社の障害当事者スタッフが登壇し、メリットだけでなく、自己管理の難しさなども含めた生の声を聞いてもらって、イメージや理解を深める場をつくったりもしています。

松井:
何かイベントを一緒にできるといいですよね。D&Iのノウハウと、我々の持つ拠点を活かしながら、一般の障害者の方向け、福祉事業者向け、企業の人事向けのイベントとか、お互いの顧客開拓にもつながるような。それが全国ツアー的なかたちでできるといいかもしれませんね。

小林:
いいですね。あとは支援スタッフの不安解消や育成という観点で、事業所向けにオンライン模擬実習の提供もできると考えています。具体的には、私たちが企業側の視点を持って、オンライン上でどのようなコミュニケーションが求められるかをフィードバックする仕組みも整っているので。

松井:
なるほど、在宅訓練用の実習ってことですよね。たしかに、それは僕も考えてこなかったです。支援の質向上に向けてもそうですし、今後、テレワーク就労の可能性を現実的に考えるとなると、そういった視点は欠かせないものになると思います。

小林:
こういった「出口支援」と「育成」の両面で協力しながら、場所を問わずに挑戦できる社会を一緒に創っていけるといいですね。

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――本日はありがとうございました。 両社の連携が、これからの障害福祉における解決策として、全国の現場へ広がっていくことを楽しみにしています。