上肢障害とは肢体不自由に含まれる身体障害です。度合いによっては日常生活に限らず、仕事においても障害が理由で困難が生じる場合があります。
上肢障害は指から肩までの範囲で、動きづらさや麻痺、継続的な痛みなど、様々な障害が発生するため、手を使うシーンで抱える悩みも個人差が大きく、職場で感じる不便も多様です。
そこで今回は、上肢障害の方が抱えることが多い悩みや、手を使わない仕事でオススメの職種・働き方など仕事選びのポイント、実際に就職・転職活動を進める方法について解説します。
障害の特性に合った業務に従事することや、理解と配慮のある環境で働くことは、安定して長く仕事を続けていくためにはとても大切です。
合わない職場環境で働くことによって、障害が悪化したり、別の病気を発症してしまったりする例も少なくありません。
そうならないよう、今後の働き方を考える参考として、ご自身の状況と照らし合わせながらお読みいただけると幸いです。
上肢障害が職場で感じる不便や悩み

上肢障害をお持ちの方が職場に抱える悩みには以下のようなものが挙げられます。
- 業務範囲が狭まる
- 作業に時間がかかる
- 通勤に肉体および精神的疲労がかかる
上肢障害のある方の場合、腕や手の動作に制限があります。そのため、業務内容によってはうまく対応できなかったり、作業が終わるまでに時間が掛かったりすることに悩む方が多いようです。
例えば、同僚にコピーを頼まれても、腕や手を上手に扱うことが困難なために、紙を上手に扱えず、コピーが終わっても相手に渡すまでに時間が掛かるなどです。また、会議に参加しても手渡された資料を上手にめくることができず、会議内容と同時に資料に目を通しにくいといったことも考えられます。
上肢障害の悩みは職場に限りません。例えば、電車やバスなどの公共の交通機関を使って通わなければならない職場の場合です。電車通勤が必須な職場だと、乗降時やラッシュアワーに肉体および精神的疲労が掛かることが予想されます。
このように、上肢障害をお持ちの方が働くことを検討するときは、上肢障害があっても柔軟に対応できる職種・業務を優先的に選ぶことが大切です。自分に合った職種・業務を選ぶことで、腰を据えて働くことができるでしょう。
上肢障害による仕事への影響

上肢障害は部位や程度、障害の内容によって、不向きな業務やできない業務が生じることがあります。ここからは、上述した職場に抱える悩みを踏まえた上で、より具体的な悩みや影響にを見ていきましょう。
目視しにくい障害だと理解を得にくい
麻痺や関節の不自由、継続的な痛みなど、パッと見たときにわかりにくい障害の場合、周囲の理解を得にくいものです。
そのため、合理的配慮によって物の移動や運搬などの仕事からはずされていることを、ズルいと言われてしまうトラブルは悲しいことに珍しくありません。
力が入りにくいなどの障害は特に伝わりづらく、周囲の不理解でストレスをためてしまうケースも多々あります。
ドアの開け閉めの負担が辛い
バックヤードとの間を隔てる扉や、倉庫の扉など、大きく重い扉を頻繁に開け閉めすることに辛さを感じることは、上肢障害を持つ方に多い悩みです。
普通のドアでも、障害によっては小まめな開け閉めが負担になることがあります。また、材料や工具、在庫などを保管している引き出しの開け閉めも、頻度が多いと負担になることは多いでしょう。
業務のための構造上、バリアフリー対応が難しい環境が負担になることは多くあります。
キャリアや異動に制限を感じ、申し出にくい
手の不自由によってはできない業務があり、キャリアを諦めなければいけないことがあります。
職場内でキャリアプランを相談しにくく、できる仕事の範囲が限られているようで息苦しいと感じる人も少なくありません。
周りの気遣いや配慮に肩身の狭さを感じる
合理的配慮とはいえ、周囲の助けを借りるときに、人の仕事を中断させてサポートしてもらうことに、申し訳なさを感じてしまうという人も多くいます。
また、あまりにも気を遣われすぎて、逆に配慮されすぎている状況に肩身が狭くなってしまうということもあります。
上肢障害の人が職場を選ぶときのポイント

上肢障害をお持ちの方が就労先を探すときは、どのようなことに気を付けると良いのでしょうか。腕や手を上手に扱うことが難しい障害だからこそ、障害をリカバリーしながら働ける企業を探しましょう。
企業内外の設備
上肢障害をお持ちの方が就労において直面しやすいこととして、第一に物理的な不便さが挙げられます。手を上手に使うことが難しい障害だからこそ、腕や手を補助する設備が導入されていれば業務に対する不便さが軽減されるでしょう。
ほかにも、上半身のバランスが保てないことにより移動のしにくさを感じることもあるので、スロープやエレベーターが設置されているかもチェックしておくと安心です。
通勤時間・働き方への配慮
上肢障害をお持ちの方にとっては、通勤や勤務時間の配慮について確認することも大切です。例えば電車通勤が主な通勤手段の場合、満員電車に乗ることで体調不良を来したり、強い疲労感に襲われたりすることが懸念されます。
通勤に対する不便さやストレスを考慮して、ラッシュアワーを避けた時間帯に通勤できる企業など、通勤時間に対する配慮が受けられる企業も視野に入れましょう。
ほかにも、時差出勤やフレックスタイム制度を導入する企業も候補の一つにすることで、出勤・退勤時への懸念をある程度減らすことができます。
相談・手助けを求めやすい環境
上肢障害を抱えているからこそ、周囲の人に相談できる・手助けを求められる雰囲気の職場かどうかも確認しましょう。
充実した福利厚生、さらには障害に対しての配慮が特徴的な企業であっても、同僚となる社員や上司などの人間関係に軋轢があれば、必要な配慮を求めにくく、業務を円滑に進められません。
障害を抱えていなくても、働き始めは誰しも失敗やミスを犯しやすく、フォローしてもらう機会が多い時期です。腕や手を上手に使うことが難しい障害を抱えているからこそ、フォローしてもらう機会が多いことを踏まえ、ヘルプを申し出やすい職場環境かもチェックしましょう。
上肢障害の人が手を使わない仕事を探す方法

合理的配慮を得られ、腕や手に負担のかからない仕事を探すには、行政の障害者支援サービスや転職エージェントの利用がおすすめです。
注意したい点として、各支援やサービスはそれぞれに運用者や支援内容が異なるため、自分の状況に合ったものを吟味して選ぶことが大切です。
また、行政の求人紹介は公開求人になりますが、一方で転職エージェントは非公開求人も紹介しています。特定の職種や業種を目指す際には、行政の支援と転職エージェントを併用することで、合理的配慮が受けられる職場を効果的に探せます。
障害に理解のある職場を見つけるために、それぞれの支援やサービスの内容を詳しく見ていきましょう。
就労移行支援事業所
就労移行支援事業所は、仕事に必要な技術の習得や書類作成、面接対策などをサポートする機関で、就労移行支援の制度を利用する方に向けての支援を提供しています。
就労移行支援事業所は求人紹介サービスではありませんが、一部の事業所では他の事業と連携し、求人紹介までサポートすることもあります。
基本的には24ヶ月で支援が終了しますが、正当な理由が認められた場合、3年目以降も利用を延長することが可能です。
地域障害者職業センター
地域障害者職業センターは、ハローワークと連携して運営される、障害者雇用促進法に基づいて設置された支援機関で、障害を持つ方々が働く上で必要な準備とサポートを提供する目的で設立されています。
障害を持つ方々が職業的スキルや知識を磨くことができる職業準備支援の提供のほか、ジョブコーチによる個別の支援で、職場での成功に向けた具体的なアドバイスや指導を受けることができます。
障害者就業・生活支援センター
障害者就業・生活支援センターは、障害を持つ方の仕事と日常生活の両方をサポートする目的で設立された機関です。障害者の方々が仕事と生活のバランスを見つけ、自立した生活を営むことができるよう全面的な支援を行っています。
就業に関する相談やアドバイスを提供し、関係機関との連絡や調整をするほか、仕事をする中で感じる日常生活の問題への助言やサポートも提供しています。
ハローワーク
ハローワークは公共職業安定所の通称で、障害者向けの窓口が設けられています。窓口では専門スタッフへの相談が可能で、職業指導を受けられるほか障害者雇用枠への応募も可能です。
さらに職業訓練の紹介も受けられ、就労に向けて必要なスキルを身につけられます。
障害者の就労に実績のある転職エージェント
障害者の就労に実績のある転職エージェントは、求職者一人ひとりに担当者がつき、面談や手続きの仲介を行います。
また、キャリアアドバイザーが障害の特性や希望条件を理解し、転職のプロセスを全面的にサポートします。書類の添削、模擬面接の実施、キャリアカウンセリングといった対策が受けられるので、書類選考や面接でもスムーズに対応できるようになります。
さらに入社後もアフターフォローが受けられるなど、新しい職場での定着を支援してくれます。
支援・サポートやエージェントを活用するのがおすすめ

手の不自由や痛み、障害の度合いは人それぞれで、職場の悩みは多種多様です。外から見てわかりにくいために理解を受けられないこともあれば、過剰な気遣いに対して引け目を感じてしまうストレスもあります。
また、入社前に伝えておいても、実際に仕事が始まってみると異なる問題が出てくることもあります。キャリアプランに対する悩みや、職場で感じる不便など、様々なトラブルを抱えると、辛くなってしまいます。
最近ではテレワークで完全在宅勤務に対応している職場も増えました。職場選びのひとつの選択として、在宅でできる仕事を選ぶというのもおすすめです。
障害を抱えながら働く上では、障害の特性に合った業務に従事することや、障害に理解や配慮のある環境で働くことが大切です。今の職場を続けていくことに負担・不安を感じている方や、これから障害に合った仕事で就職を目指している方は、ぜひ一度DIエージェントにご相談ください。
DIエージェントは、「障害をお持ちの方一人ひとりが自分らしく働ける社会をつくる」ために、障害者枠で就職・転職を検討されている方に対して就職・転職についてのアドバイスや、ご希望に沿った障害者枠の求人紹介を行っております。
専任のキャリアアドバイザーが丁寧にヒアリングし、お一人おひとりに寄り添った働き方を提案させていただきます。
「今の自分に無理のない働き方をしたい」「理解のある環境で働きたい」というご希望がありましたら、まだ転職は検討段階という状態でも構いませんので、ぜひお気軽にご相談ください。
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社会福祉士。福祉系大学を卒業し、大手小売店にて障害者雇用のマネジメント業務に携わる。その後経験を活かし(株)D&Iに入社。キャリアアドバイザーを務めたのち、就労移行支援事業所「ワークイズ」にて職業指導・生活支援をおこなう。








